先輩紹介

Senior introduction

Episode-1

1992年卒業

株式会社マックス 社長

大野範子さん(旧姓:小川)

大野範子さん

人としての
基本的な正しい生き方や
価値観を作り上げてもらえた。

先輩の現在は?

甲南大学経済学部卒業、関西学院大学大学院経営戦略研究科修了。
卒業後大手香料会社へ入社。同社の女性営業第一号となる。その後は、家業である株式会社マックスへ入社。営業部長、取締役を経て、2009年春5代目社長に就任。

ところが状況が一転したのはその半年後。2009年秋に子宮がんを患い、その後も転移を繰り返して長い闘病を経験することに。しかし、病気を克服していく中で「商品を通して、お客様の悩みを解決する企業を目指したい」という経営者としての強い信念にめぐり合うことができ、職場復帰後はそれを具体化した独自の技術開発やヒット商品を生み出す。近年では、国内製造業の女性経営者らで構成する「ものづくりなでしこ」や経済産業省「第2期WIL」に参画。2018年はばたく中小企業300社受賞。

現在も、曽祖父が明治38年に創業した化粧品メーカーの株式会社マックスで5代目の社長をしています。従業員数100名前後の中小企業です。中小企業というのは、大手企業と比べてちょっとした環境変化によって業績が大きな影響を受けます。何かを達成したと思ったら、次々と他の問題がでてきての繰り返しです。そんな年中無休で変化する情勢の中を、一歩一歩、目標へ向かって歩みを進めています。

最近では、コーポレートメッセージとして「弱いお肌の、強い味方に。」ということを掲げて、新しい技術研究や商品開発を行っています。それは、私自身が闘病を経験した中で「退院したら、お客さんの悩みを解決するような商品を作りたい!そんな社会から必要とされる企業でありたい!」という、絶対的な信念にめぐり会えたからです。

大谷での思い出は?

大谷は、祖母が卒業生ということもあり、勧められるままに受験をしました。当時の思い出で最初に思い浮かぶことは、やや厳しめの校則やしつけです(笑)。特に校則は事細かく決まりがあって、自由な他校を羨望の眼差しで見ながら「女の子が生まれたら、絶対、大谷には入れへん!」と、同級生と口を揃えて言ったものです。

しかし、いま振り返ると「いかにしっかり、真っすぐ育ててもらった6年間であったか」と痛感します。文句を言っていた当時の同級生の多くも、「娘は大谷に入れたい」と言います。

中学・高校生という時期は、様々なものをどんどん吸収して大人として社会に出ていく精神の基盤を作る段階です。また、良くも悪くも周りからの影響を大いに受けてしまう多感なタイミングでもあります。大谷では、社会に出た後のどんな環境下においてもブレることのない、人としての基本的な正しい生き方や価値観を、守られながら作り上げてもらえたと感じています。

又、私は中学2年生から高校卒業までクラスメートが変わらない準特進コースだったため、様々な思春期の悩みや大学受験など、心から信頼して相談できる友人を多く得る事ができました。
受験に際しても、担任の先生や、受験科目の先生から丁寧に指導頂き、じっくり進路相談に応じて頂きました。先生とは、本当に長い間、一緒に戦い抜いた印象が強く残っていて、中高一貫だからこそ長期的な視点での教育が実現しているのだと思います。

特に現在でも支えとなっている学びは、組織を生かすリーダーシップです。この“生かす”とは、自分一人の力で無理やり引っ張っていくようなやり方ではなく、周囲との調和をはかり、他の一人一人が力を発揮しながら皆で同じ方向へ向かっていくという考え方です。昨今、社会ではこういった女性のリーダー像が求められていますので、これからの時代に必要とされる思想を得ることができたと思っています。

夢や目標、後輩への
メッセージは?

マックスの商品で、世界中の人たちの肌の悩みを解決して、多くの笑顔を広げていける企業となることが、私の人生をかけた大きな夢であり、会社のビジョンでもあります。

しかし、現実は厳しいです。そこへ近づけば近づくほど、多くの失敗や回り道が存在しています。市場で競合する商品の中には、アリとマンモス以上の差がある大企業の有名ブランドもあり、私たちの夢は簡単に踏みつぶされてしまいます。なかなか思い通りにはいきません。それでも…どうしてもなりたい姿があるからこそ、毎日、元気や勇気が湧き出てくるのです。だから、前へ前へと突き進めるのです。

在校生の皆さんの中で、特にこれから会社経営に携わることを目指している方には、その経営を通じて「どうしても成し遂げたいビジョン(なりたい姿、大きな夢)」を持ってほしいと思います。前述の通り、ビジョンを達成するためには、多くの失敗が待っています。失敗することで、周りから強く非難されることだってあります。それは悲しいし、凹みますよね…。でも、自分にとって絶対的なものがあれば、そんな時に力が湧き出てくるのです。その思いが強ければ強いほど、何度でも立ち上がって、前に進むことができるのです。

皆さんにとって、毎日がエネルギーで満ち溢れるような、人生をかけてでも成し遂げたくなるような「ビジョン」にめぐり会えることを、大谷OGの一人として、心から応援しております。