学校長からのメッセージMessage

令和3年度 大谷中学校 入学式

皆さん お早うございます。式辞の前に、一言、申し上げます。
昨年は思いもよらぬ新型コロナウィルス禍の影響を受け、世の中の様々な分野が大きなダメージを受けました。教育界も同様に、教育活動が制限される深刻な教育環境になりました。今なお、感染拡大の収束には至らず、不透明感が残っている現状です。しかし、感染防止対策等を講じ、諸事情を検討した結果、本日、めでたく、入学式を挙行することになりました。
ただ、本来なら、本日の入学式を、ご来賓の皆様方、保護者、ご家族の皆様方とともに、あなた方の入学をお祝いすることになっていましたが、残念ながら、新入生の皆様と教職員の参加に止めての挙行になっています。保護者、ご家族の皆様方には、別会場で入学式の様子を映像でご覧いただいています。どうか、昨今の現状を理解して、受け止めてください。

それでは、式辞を披露いたします。
春爛漫、郊外では陽光が燦燦と輝き、新入生の皆様を心より祝福してくれているかのように感じられる季節です。校庭にも桜の花が満開に咲き誇っています。
新入生の皆さん、本日、令和三年度 学校法人大谷学園、大谷中学校 入学式を挙行できますことを、大変うれしく思います。改めて、心よりお祝い申し上げます。
入学許可を与えられました新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私たち教職員、在校生一同、皆さんが入学されるこの日を、心待ちにしていました。また、この日を待ち望み、お嬢様の成長を支えてこられた保護者、ご家族の皆様方にも心からお祝いのメッセージを送りたいと思います。本日はお嬢様のご入学 誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
只今、入学式を迎えられました新入生の皆さんは、厳しく、苦しかった受験を乗り越え、中学校生活という新しいステージに、大きな希望を抱き、胸をわくわくさせ、心を躍らせていることと思います。本校伝統の真新しい、少し大きめの制服に身を包み、緊張した様子の皆さんを見ていると、中学校生活への期待や意欲が伝わってきます。これからの皆さんの活躍が楽しみでなりません。
季節はめぐり、例外なく、私たちに相変わらぬ美しい春夏秋冬の色合いを届けてくれます。しかし、世の中は常に平穏とは限りません。今回の新型コロナウィルス禍など社会を覆う未曽有の危機はきまって不意に訪れます。非常時になると、自分中心の考え方が芽生え、利己的になり、おのずと人間としての品位が失われていく場合があるのです。しかし、元来、私たちには「和」を尊ぶ心が備わっています。だから、これまでに幾度も遭遇した災難にあっては、「私」より、「公」を優先し、周りの人々を思いやり、互いに支え合うことにより、多くの危機を克服することができたと思うのです。
今後も、有事の時こそ、節度を失わず、競い合うよりも、皆が一つ、ワンチームになり、平穏な生活が営むことができる、本校の校訓にもある「和合なかよくたすけあって」の豊かな魂を大切にしていただきたいと願うばかりです。

本校を志願し、このたび立派に合格を果たされた皆さん、これまでの道のりは決して平坦なものではなかったと思います。それだけに、合格発表の日に自分の番号を見つけた時の感激は、これまでの人生で最高の喜びであったでしょう。どうか、その時の感激をいつまでも大切にして、しっかり脳裏に焼き付け、忘れないでください。しかしながら、後になって人生を振り返ってみれば、入試での合格の喜びはつかの間の喜びであり、失敗しても、それは小さなつまずきでしかありません。人生の先にはもっと大きな喜び、もっと大きな困難が待っています。受験は人生の一過点であって、人生の目的ではありません。大切なことは合格という栄冠を手にしたことへの自信と誇りを持つことです。さらに、掲げた目標に向かって精一杯努力した過程、プロセスに価値をおいて、これからの中学生活が充実したものになるように、ベストを尽くすことであると思います。
また、入学式というよき日を迎えることができたのは、自分自身の努力はもちろんのこと、保護者、ご家族の方をはじめ、多くの方々の支えがあったということも、心に留めておいてほしいと願っています。そして、心から、感謝の気持ちを表してください。真心を込めて「ありがとう」という言葉を何度も何度もかけてください。いくら感謝しても、感謝し過ぎることはありません。そして、ご恩返しをしましょう。あなた方にできる一番のご恩返しは、健康で、人に迷惑をかけず、楽しい学校生活を送ることです。もちろん、学力をつけることは大切ですが、朝出かける時には「行ってきます」帰宅したときには「ただいま」と、大きな声で言えるような楽しい、充実した学校生活を送ることが、最高のご恩返しです。
本学園を創設された校祖、左藤了秀先生が女子教育の大切さを提唱されてから早や百十二年の歳月が流れました。校祖が唱えられた教育理念は「次世代の命を育む女性にこそ高い教養と豊かな魂を」の言葉に込められています。この理念を礎に、常に「朝に礼拝、夕に感謝」の校訓を唱和し、「報恩感謝の念」を育む教育は、時代がどの様に変わろうが、ゆるぎのない確固たる普遍の真理で、人生の道しるべ、羅針盤であると言えるのです。これまで、この理念の下で巣立った多くの卒業生の方々は、様々な分野で活躍し、社会貢献の一助となっている学校でもあります。
学校とは学び舎です。あなた方が集団生活を通して、自ら「折り合い」を付けることができる力を育む所です。様々な人々と共生している社会の中では、人は一人で生きていくことはできません。自分自身や周りの人との擦り合わせ、コミュニケーションを通して、どこかで「折り合い」をつける必要があります。この力を育むことが学校に通うことの大きな意味であり、学校はそのトレーニングをする絶好の場所となっているのです。
これから歩むことになる中学生活は長い人生の中で、心身ともに最も成長する大切な時期です。一日も早く大谷での学校生活に慣れ、様々な経験を通して、健康で楽しい充実した日々を送って欲しいと切に願っています。小学校時代に培った力を礎に、これまでの殻にとらわれず、新しい自分を見つけてください。ともに歩むことになった友達を大切にし、自分にない友達の素晴らしいところに学び、自分を鍛え、互いに切磋琢磨して、誰からも認められ、信頼される立派な女性に成長してください。そして、本校を卒業する時には「大谷を選んでよかった」「大谷で幸せをつかんだ」と声高らかに誇れるように精一杯頑張ってください。
さて、幸せで、有意義な人生を送れる礎となる中学生活をスタートするにあたって、心に留めて欲しい話を三つしておきたいと思います。

一つ目は「仲良しになれる素直な心を培う」ということです。
人は誰しも尊い特性、個性を持ち、未知なる可能性を秘めています。学校という共同生活にあってはそれぞれの素晴らしい違いを素直に認め、リスペクトすることが何よりも大切です。あなた方は、一人ひとりがこの世にたった一人しかいない存在です。また、同様に周りのお友達も世界中にたった一人しかいない仲間です。あなた方はご縁があって同じ学校で生活することになりました。人には長所と短所があります。他人の欠点・短所はすぐに見つけることができるけれども、自分のそれにはなかなか気づくことができないのが人として悲しいところです。自分と異なる価値観を持つ人に出会った時、やみくもに相手を否定する態度は人間関係においては良い結果を生むことはありません。衝突や対立が生じた場合も、相手の立場に立って物事を捉え直すと、相手の思いがよく理解できることがあります。少なくとも、自分の「相手に対する見方」が変われば自分自身の心が穏やかになっていくはずです。
集団生活の中では、ややもすると「自分中心に物事を見る」という、狭い、頑な考えが生ずることがあります。どうか、自分だけの物差しで判断するのではなく、相手の立場に立って考えることや、人の意見に、素直に耳を傾ける姿勢を大切にしてください。いずれにしても、これから始まる中学校三年間の学びを通して、皆さんが「春風のような、温かな心」で、人に接し、「北風のような、やや厳しい心」で、自分を見直すことができる素直で、心豊かな人に成長することを、心より願っています。

二つ目は「時の流れを大切にして、約束を守る」と言うことです。
学校生活や社会生活で、友達や周りの人々と友好的な関係を構築するためには、時の流れを大切にして、約束時間を守るとする時間の観念が大切です。私たちは時間について、時々不平を言うことがあります。人を待っていて、その人がなかなか現れない時には、「一〇分は長いな」と時の流れを長く感じて、不平を言うことがあり、また、楽しいことをしているときに「一〇分は短いな」と時の流れを短く感じ、不満を言うこともあります。しかしながら。時には、不平等を感じるこの世の中で、最も平等なのが時の流れであるのです。一日の長さは、世界中どこでも同じです。時の流れは老いも若きも関係なく、天才も凡人も、富める人も貧しい人も変わりなく、過去も現在もやはり同じです。それを時が経つのが早いと焦ったり、遅いと愚痴を言ったりするのは、人の勝手な受け止め方で、時間を使う自分の心のあり様、心がけの問題であると実感しています。平等に与えられている時間を支配しているのは誰でしょうか。あなた、彼、彼女ではありません。自分自身が時を自由に扱う権利を持っているのです。時の流れを有効に使えるか否かは、自分の心次第です。また、平等に与えられた時間の使い方次第で、大きな影響を受けて、一人ひとりの成長に、大きな差が出てきます。時の流れ、時間を大切にして、約束を守る心構えは、健全な学校生活を営み、高い学力をつけるうえで、欠かすことのできない大切な要素です。

三つ目は「与えられた環境を大切に、今を無駄にしないで努力する」と言うことです
落ち着いて豊かな、楽しい学校生活を送るためには、与えられた「今」の環境の中で精一杯努力することが、何にもまして大切です。私たちは自らの意思で、自分に合った環境や社会を選ぶことができません。与えられた「今」ある環境の中で、「今」を無駄にしないで夢を抱き、目標を立て、人生を歩むことが求められています。ややもすると、「今」置かれている環境をすべて否定し、隣の庭が美しく、対岸の岸が天国に見えるかの如く勘違いをすることがあります。これは自分の努力不足が招いた結果を素直に認めず、その結果を責任転嫁しようとし、常に愚痴や不平、不満を言ったり、相手を責めたりすることによって、責任逃れをしようとする悲しい心の在り方です。このような貧しい心は結果的に自己否定に、自分の損に繋がってしまうことになりかねないのです。「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」という言葉があります。この言葉は私たちの人間の心の在り方を端的に表しています。目標を抱いて、前向きに、ポジティブに物事をとらえる人は人から好かれ、尊敬されるが、一方、常に不平や不満を抱くことは自分のためにもならないし、周りの人々にも不愉快な感じを与えてしまうことになりかねないのです。中学の三年間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。あとで後悔することがないように、一日一日を無駄にしないで、与えられた環境の中で、一歩先の精神で、学習はもとより、様々な活動に励んでください。

今日、大谷中学校は心豊かな未来を担う女性に育ってくれる新入生を迎えることになりました。将来、社会において果たすべき使命を自覚し、個性に応じた進路を決定するために、一年生の時から志を高く掲げ、明確な目標を持つことが大切です。これから歩むことになる学校生活で、楽しいことも、悔しいことも、つらいこともあるでしょう。また、感動することも、がっかりすることもあるでしょう。大谷学園での様々な経験を通して「心豊かな人間、心のフレームの大きな女性」になってくれることを切に願っています。
新たな夢舞台は整い、未知のステージの幕が上がりました。このステージであなた方がどんなパフォーマンスをしてくれるか、新しい真っ白なキャンバスにどのようなデッサンをし、どのような色付けをしてくれるのか、楽しみで一杯です。あなた方の成長を期待しています。六年後、本校を巣立つ折には「わが母校大谷学園」「わが心のふるさと大谷学園」と声高らかに誇れるように、充実した学校生活を送ってくれることを心より期待しています。

最後になりましたが、新入生の保護者の皆様方、本日はお嬢様のご入学 誠におめでとうございます。私たち教職員はお嬢様を大切にお預かりし、六年後には本校の教育理念どおりに「人として、女性としての高い教養と豊かな魂」を備え、「朝に礼拝、夕に感謝」ができ、国際的視野を備えて、社会に貢献できる「やさしく、かしこく、美しい」女性になっていただけるよう全力をあげて取り組んで参ります。保護者の皆様方におかれましては、どうぞ本校の教育にご理解を賜り、二人三脚でお嬢様の成長を支えていくことができますようご協力、ご支援のほどお願い申し上げます。
 新入生皆さん、保護者の皆様方、ご来賓の皆様方、本日ご縁をいただいている皆様方、全ての方々のご多幸とご健勝を心よりお祈りし、式辞とさせていただきます。

令和3(2021)年4月7日