学校長からのメッセージMessage

令和3年度 Ⅰ学期始業式

皆さん、お早うございます。
 さて、本日の対面式、一学期の始業式は感染防止のため、中学校一年生と高校一年生のみ対面で実施し、他の学年はリモートで参加していただきます。皆さん、現状を理解してください。
 只今、対面式が終わりました。中学一年と高等学校三か年課程の新入生が入学してきました。どうか、先輩の皆様は新しい環境の中で不慣れで、戸惑う新入生に温かいアドバイスをして、親切な指導をしてあげてください。新入生の皆さんは先輩、お姉さんの言葉に耳を傾けて、学校生活がスムーズにいくように心がけてください。「袖すり合うも他生の縁」ということわざがあります。これは、全く知らない人と路上で袖が触れ合うのも前世からの何かの繋がりがあるということです。また、「一期一会」と言う言葉もあります。この言葉は茶人千利休が茶会の心構えとしていったものです。「今日の茶会は再び繰り返せない。一生に一度のものである。だから、主人も客も、そのことを心得て、全力を尽くして、素晴らしい茶会にしよう」という内容です。
あなた方は大谷の精神がご縁で、親鸞聖人のお導きで、大谷の学び舎で学園生活をすることになります。どうか、このご縁を大切にして、共に助け合い、支え合って、学習面、生活面ともに、健康的で、充実した学校生活を送ってください。
今日は大切な一学期の始業式です。
一年の計は元旦にありと言います。輝かしい新年を迎え、心新たにして、今年一年の目標を定めて、努力しようと誓う日です。学校生活では一学期の始業式がその日に当たります。昨年、自分の身の回りに起こった様々な出来事を振り返って、心を豊かに、アップデートしてください。この一年が楽しい、充実した、有意義な一年になり、掲げた目標が実現できるよう、精一杯努力してほしいと願っています。
 昨日、大谷中学校、大谷高等学校の入学式がありました。新入生の皆様、改めて、ご入学おめでとうございます。それぞれ夢をもってしっかり頑張ってください。入学式では、新入生の顔つきを見ると、新たな環境に対する緊張感と戸惑いを感じるのと同時に、一人ひとりの瞳が輝いていて、「さあー、頑張ろう」とする意欲を強く感じました。新入生の皆さんは厳しかった入学試験の試練を乗り越え、合格発表の日に自分の番号を見つけた時の感激は、これまでの人生で最高の喜びであったと思います。どうか、あの感激をいつまでも大切にして、脳裏にしっかり焼き付け忘れないでください。また、合格という栄冠を手にしたことへの自信と誇りを持つとともに、掲げた目標に向かって精一杯努力した過程、プロセスに価値をおいて、これからの学校生活が充実したものになるように精進努力してください。他学年の皆さんも全員が同じように、入学試験を通して、喜びも悔しさも経験し、大谷に通学することになった時、それぞれが、大きな希望と夢を抱いて、胸をわくわくさせたことと思います。どうか、今一度、その時の期待感を思い出し、心を豊かして、一歩先へ歩んでほしいと強く期待しています。
 高等学校においては、六か年過程の生徒と三か年課程の生徒が大谷の学び舎で共同生活をします。それぞれが目標を掲げて、しっかり学習を積み重ね、求めた次のステージに進めるよう精進努力をしてください。また、共同生活の中で、自分中心の考え方を持たないで、互いに思いやり、助け合い、支え合う心を養ってほしいと願っています。是非、六か年生の皆さんは心より三か年生の皆さんを歓迎していただき、六か年過程と三か年過程の隔たりなく、お互いに尊重して、互いに良い影響を受けて、学習面、生活面において、楽しい、アカデミックな校風を創り上げてください。
さて、一学期の始業式にあたり、あなた方に希望することを少し話したいと思います。
それは「自分という軸を、しっかり持とう」「環境に、周りの人に流されないようにしよう」というメッセージです。これからあなた方が歩む日々は、「色々な方向から、様々な強さの風」が吹いて来ます。その時に自分の「軸」が動いてしまうと、「風」が吹いていないのに「風」を感じてしまうことが度々あります。また「風」と同じ方向ばかり向いていると「強風」であるのに「微風」と勘違いをしてしまうこともあるのです。自分が描いた目標を達成しようと思えば「自分という軸をしっかり持ち」「周りに流されないで」、「意思を貫く」ことが何よりも大切であると思います。
この見本を見せていただいたのが、水泳の池江璃加子選手です。彼女は東京五輪の代表選考会を兼ねた日本選手権において、一〇〇メートルバタフライで見事優勝し、東京五輪代表選手に内定し、リオデジャネイロオリンピック大会に続き二度目の五輪出場となります。
彼女は二〇一九年の二月に難病である白血病を発症し、抗がん剤などの厳しい治療で、体重は一時、約一五キロ落ち、水泳選手としては致命的な状況になりました。しかし、もう一度泳ぎたいとの思いで、治療に専念し、苦難を乗り越えて、昨年の三月にプール練習を再開するまでの体力の回復に至りました。「練習を再開したころは恐怖心でスタート台から飛び込むこともできず、バタフライを泳げば溺れかけた。病気を経てどこまで力が戻るのか、不安は常に付きまとった」と回想しています。しかし、彼女自身が精神的にも、最も苦しい闘病生活の中で支えにしていたのが「出口のないトンネルはない」という言葉でした。その後も実践の試合に出場できるよう激しい練習を積み重ねました。そして、八月の実践復帰後は第二の水泳人生と位置づけ、二四年のパリ五輪出場を第一目標に掲げて努力を積み重ねてきました。
一方、勝利への純粋な欲求は日に日に高まっていった。他の多くのアスリートと競い合う舞台に立ちたいという思いがますます強くなってきた。もう一度表彰台の真ん中に立つことを自分のゆるぎない目標に掲げ、精一杯の努力をしようと心に誓ったと口にしています。このような自分の軸がぶれない状況の中で、いち早く、自国開催の東京五輪の切符をつかんだことは、多くの人々に称賛され、私たちに生きる力、勇気、感動を与えていただきました。
東京五輪の代表選考会は五輪本番と同じ東京アクアチックセンターで開催されました。二度目の五輪切符をかけた一〇〇メートルバタフライ決勝の舞台に「ただいま」と言って入場してきました。ゴール直後、電光掲示板を振り返り、自分の優勝とタイムを確認し、左手を水面にたたきつけ、何度も右手でガッツポーズを作りました。「優勝できるとは思っていなかったが、一位になったことが確認できた瞬間、嬉しさとか、いろんな感情がこみ上げてきた。これまで私を支えていただいた多くの人々に心から感謝したい。周りの方々の支えがあって私がここにいれることを実感しています。つらくても、しんどくても、努力は必ず報われるんだなと思いました。」と直後のインタビューでは何度も涙を拭いながら語っていました。
インタビューされていた時の様子を見ていると、彼女が素直に喜びを表す言葉や態度に深く感動し、心が洗われた気持ちになりました。やはり、何事をするにも、目的を達成するためには日々の努力と自分の軸をしっかり持って、他人や周りの環境に流されず、自分を貫くことが大切であることを実感しました。
どうか、皆さんも池江選手の豊かな心、フレームの大きな心を参考にしていつでも夢を一歩先の精神で様々なことにチャレンジしてください。
今学期も皆さんが健康で、楽しい学校生活を送り、目標達成への礎を造ってくれることを心より願っています。「朝に礼拝、夕べに感謝」の校訓を常に忘れず充実した生活を送ってください。
最後に、新型コロナウィルス感染症は未だに収束の目途がついていません。今後も感染拡大を防ぐため、ひとり一人に与えられた責務を果たすことが大切です。どうか、日常生活、学校生活において、三密を避け、マスク着用などのルールをしっか守っていただきたいと願っています。

(令和3(2021)年4月8日)