学校長からのメッセージMessage

令和3年Ⅱ学期 講堂朝礼(高校2年生)

お早うございます。
やっと、講堂を再開することができました。大変うれしく思っています。

今日は、あなた方にとっては久しぶりの講堂朝礼になります。この場所に来れば、心が落ち着き、心が洗われて清らかな気持ちになります。それは、正面におられる阿弥陀仏が温かく私たちを見守ってくださっているからです。本校は百十二年の歴史を刻む伝統校です。これまでに卒業された約四万人に及ぶ同窓生の皆様は、この講堂朝礼を通して、本校の教育理念である「報恩感謝」の念と「高い教養と豊かな魂」を身に付け、「やさしく、かしこく、うつくしく」をモットーに社会の一隅を照らす役割を担っています。卒業生の皆さんが何かの会で集まれば、必ずこの講堂朝礼が話題になり会話に花を咲かせると聞いています。是非、創立以来、脈々と引き継がれた「大谷の精神」「大谷愛、愛校心」の根本となる「講堂朝礼」を大切にしてほしいと心から願っています。あなた方も卒業すれば必ずこの講堂朝礼で手を合わせたことを思い出し、心の支えになると信じています。

今年度も新型コロナウィルス感染症対策のため経済界をはじめとして日本の様々な分野で大きな影響を受けました。教育現場も同様に深刻な影響を受け、全国の各学校が通常の授授業ができない教育環境になりました。大阪に第四回目の「緊急事態宣言」が発出され、二度の延長が講じられ、ようやく九月三十日に解除になりました。特にこの間においては授業、クラブ活動に大きな影響が出ました。本校は感染拡大防止のため、授業については、原則、対面授業を実施し、同時にライブ授業を併用するハイブリッド方式を採用いたしました。あなた方の健康と安全を守るため、発熱、体調不良及び登校不安を感じる場合は家庭学習を促し、対面授業をそのままライブで配信し授業の補填に努めました。お陰様で保護者、生徒の皆様から大きなクレームもなく、高い評価を得て授業を進めることができました。現在は学び舎の原点である通常授業を実施しています。

しかし、学校行事は大きな痛手を受けました。先ず、あなた方が一番楽しみしていた六月予定の北海道修学旅行は実施ができず、九月に延期をいたしましたが、感染防止のためこの日程での実施も叶うことができませんでした。修学旅行の再検討の結果、中止という選択肢もありましたが、旅先と日程を変更して、二月に長崎方面に平和教育と親睦を兼ねて実施することになりました。凛花コースのカナダ修学旅行も中止となり他コースと同じ修学旅行となります。楽しみにしてください。この計画の裏には先生方のあなた方を思う心、愛する心が強い力が働いています。これまで、立案、計画携わっていただいた全ての皆様方に心より感謝してください。さらに、心から楽しみにしていた体育大会、文化祭も断腸の思いで中止にしなければならなくなりました。あなた方には大変寂しい思いをさせたことを心からお詫びしたいと思います。しかし、代替の学年行事を用意しましたので、行事の目的をよく理解して存分に楽しんでください。今日は海遊館に行き、船にも乗る予定になっています。

さて、あなた方は高校二年生、大学入試、進路を考えたら、大谷の中高六か年教育の中で一番大切な時です。二年生という仮面を外せば受験生です。高三に上がるまで期間、どれだけ充実した学習ができるかが、あなた方の進路に大きな影響があることは言うまでもありません。現状を良く理解して精一杯頑張ってください。

今、文部科学省は教育改革に取り組み、二十一世紀型教育、対話的な深い学び提唱しています。というのは、これから、ますますグローバル化が激化し、一人ひとりの個性が尊重される多様化。ダイバーシティの時代を迎えます。このような環境の中で、これまで私たちが得意としてきた知識量だけで諸問題を解決するには限界があるとされているのです。これから求められるのは知識・技能(読み書き・そろばん)を礎にして、思考力・判断力・表現力を身に付けて、様々な人々と主体的になって協働する力です。いわゆる学力の三要素が強く求められているのです。

この学力の三要素がどれだけ定着しているかを試すのが、新たな大学入学試験制度、「大学入学共通テスト」です。昨年度、初めて実施されました。これまの大学入試センター試験では、「何点とればどの大学に入れるか」希望大学に合格できる目標の可視化が図られたものの、一点刻みの学力検査に偏重し、知識量だけで合格が決まる傾向が強まりました。れからは、積み重ねて得た知識をどのように展開させるか、その源泉となる思考力や、判断力等を求める問題が出題される予定です。実際、昨年度の共通テストを分析すれば、予想以上に思考力等を求める問題が出題されました。さらに、高校生活の中でどの様に思考力を発揮し主体性を持って様々な人々と協働することを学んだかを表す学習履歴、活動蓄積、ポートフォリオが大きく求められることになます。これに対する評価は各種の推薦入試の合否大きく影響すると推測しています。学校側は当然、万全の入試対策を講じますが、どうか、あなた方も積極的に入試情報に耳を傾け、入試対策の準備をしてください。

高校生活も半分が過ぎました。今の心の状態はどうでしょうか。成績が順調に上がり、クラブ活動も大いに楽しみ、充実した学校生活を送っている生徒もいるでしょう。しかし、成績があまり伸びずやる気を失くしている生徒もいるかもしれません。また、いまだに、大谷の学校生活になじむことができない人もいるかもしれません。しかしながら、いくら悩んでも、いくら後悔しても、いくら苦しんでも過ぎ去った日々、時間は戻ることがありません。悩んで、悔やんで、その場にとどまっていても一歩先はありません。勇気を出して一歩前に足を運んでください。今を大切に、今を無駄にしないで、今、目の前にあること、今、すぐに出来ること、やるべきことに真剣に取り組んでください。必ず光が差してくると思います。

人生を歩む上で心得ておかなければならない言葉があります。「こんないいことはいつまで続かない。また同時に、こんな悪いこともいつまでも続かない。」という言葉です。「この世の中は自分の思い通りなる時もあれば、思い通りにならない時もある。全てが順調に進み、うまくいっている時には、こんなことはいつまでも続かないと、有頂天にならず、天狗にならず、少し自重しなさい。逆に、何もかもがうまくいかず、悩んだり困ったりしたときは、こんな悪いこともいつまでも続かないと、常に希望の中に幸福を見出して精進努力しなさい。」という意味です。
世の中で、どんなに立派な人でも、どんなに徳を積んだ人でも、どんなにお金持ちでも、悩みを持っていない人はいません。悩んだり、困ったことに直面した時に、どのように対処するか、どのように身を処するかが大切であって、そのときの冷静な身の処し方が人生で幸せをつかむ試金石になると思います。人生はいつも幸せで右肩上がりではありません。楽しいとき、悲しいとき、山と谷の連続です。人生の山にあるときは「こんないいことはいつまで続かない」。人生の谷に落ちたときには、「こんな悪いこともいつまでも続かない。」と思って、希望の中に幸福を見出して、投げやりにならないで、知恵を使って冷静に対処することが大切です。

このことは学習についても同じことが言えます。どんなに成績の良い生徒でも、必ずしも自分の学習方法に満足をしているとはいえません。常に成績が右肩上がりであることはありない。良い成績のとき、悪い成績のとき、山あり谷あり連続です。どんなに勉強しても成績が上がらない、どうしたら良いのか分からない。学習面で谷底に落ちたときには、「こんな悪いことはいつまでも続かない。」と希望を持って、冷静に判断し精進努力をしてほしいと思います。あれこれ悩んで、結果的に勉強が手につかない状況は最悪です。
あなた方の中にはベストを尽くしているにもかかわらず、その成果が表れていないと嘆いている人がいるかもしれません。それは自ら撒いた種子が土の中で発芽するのをじっと待っているようなもので、丁寧に、世話を続けることで、いつか必ず発芽して、大輪の花を咲かせるでしょう。また、大きな壁を前にして、焦ったり、やる気を失くしたりしている人もいるでしょう。それは、壁が立ちはだかっているのは目標の達成に近づいている証拠に他なりません。あきらめずに、一歩先に進めば、きっと、夢の実現にたどり着くと信じています。

今日は人が夢を抱き、目標をしっかり定めて、惜しまない努力を続ければ、必ず物事が成就する話をしたいと思います。一つの例として、あなた方の先輩で、現役で、国公立大学の医学部医学科に見事合格した生徒の大学受験に対する心のあり様について話をしたいと思います。

彼女が医学部医学科を受験したいと思った志望理由は大まかに次のような内容でした。
『私には、医者に成りたいという夢があります。その夢の実現のために、貴学医学部医学科で広い知識と正確な技術、高いコミュニケーション力を身に付けたいと考えています。
私は小学生のころから、かけがいのない命を救う医師という存在にあこがれていました。そこで、中学二年生から高校二年生まで十数回、医師体験や勉強会に参加しました。その中で、確かな腕と温かい人柄で患者からの信頼を得て、自らの手で患者を救う医師に接し、医師になりたいという思いが強くなりました。しかし、同時に、医療行為が極めて厳粛なものであり、失敗は許されないのだということを痛感し、さらに、これからの医療問題について考えるきっかけともなりました。高齢化が進む中で臨床数が不足し、在宅医療へ移行するということです。そこでは、医師が幅広い知識と技術を備えていることに加え、高いコミュニケーション力、つまり患者に分かりやすく説明する力、患者に共感する力、そして、他の医療スタッフや医療機関と情報を共有し連携を図る力が必要だと考えました。これらの力を備えた医師として患者に関わっていきたいと思っていた折、貴学の教授の講演を拝聴しました。「うなずくこと」の大切さについて語っておられたが、私はこれこそ「共感」なのだと初めて気付かされました。
 貴学には医学を学ぶための設備が充実している。そこで徹底的に実践に役立つ技術を習得したいと思います。以上の理由から貴学への入学を切に希望します。入学後は、大阪の医療に貢献できるように研鑽を積みたい。そして、医師になった後も一生学び続け、新しい知識や技術を取り入れつつ、一人でも多くの患者を助けたいと心強くしています。』以上のような力強い志でありました。

やはり、物事を成就させるには、勉強したいと思うきっかけと目標を掲げるこが大切です。本年度、二酸化炭素等の温室効果ガスに着目し、地球温暖化の予測に関する長年の研究業績が高く評価され、ノーベル物理学賞を受賞された真鍋先生や、ノーベル医学生理学賞を受賞された山中先生、本庶先生も異口同音に「学びたいと思うきっかけは「知りたい」と心が躍る物事への関心・好奇心である。夢中になれるもの、あこがれるものを心に灯すことが大切である。」と回想されています。

夢を抱くこと、目標を掲げること、何かにあこがれること、これらは学習意欲の源泉であると確信しています。充実期を迎えるこれからの二学期、三学期を精一杯頑張ってください。
以上で話を終わります。

(2022(令和3)年10月22日(金))